思いが通じても別の人間であることを忘れずに。あの人の気持ちを考えて

今あの人があなたに対して抱いている気持ちには照れがあります。「照れ」と一言で言っても様々ですが、どのような種類のものなのでしょうか。

 

実は、あの人自身、自分の気持ちには戸惑っています。あなたを前にすると焦りが生じ、自然に振る舞えないでいることに、あなたは気が付いていないのかもしれません。

 

しかし、二人の様子を客観的に見ると、明らかにあの人は挙動がおかしい。どうしてあなたをこんなにも意識してしまうのか、自意識が過剰になっている自分に恥ずかしさを感じています。

 

まだ芽生えたばかりの感情に、あの人の思考、認識が追い付いていかないのです。結果として、今のところ「照れている」という状態だと言えるでしょう。

 

あの人はあなたに「頼りがいがある」と思われたいようです。

 

実のところ、あの人は決して「自信があるタイプ」とは言えません。何でもないように振る舞っていますが、そう見せているだけ。密かに周囲の状況をうかがい、浮かないように、悪目立ちしないように雰囲気に溶け込もうと努力しているのです。

 

内心はらはらしていると言ってもいいほど、あの人は神経を研ぎ澄ませています。しかし、それを恰好が良いことだとは思っていません。だからこそ、周りの人間、特にあなたには悟られないように細心の注意を払っているのです。

 

そして、そうしてつくり上げた、頼りがいがあるように見せている自分を、思惑通りにあなたには慕ってほしいと願っています。

 

あの人があなたに感じる魅力は人懐こさです。また、あなたからはとても人好きのする印象を受けるのでしょう。

 

どんな人とでも分け隔てなく接し、心を通わせ合えるあなたは魅力に溢れています。あの人がそこに惹かれるのも納得がいくというものです。

 

時々、人懐こいをはき違えて馴れ馴れしい、無礼に振る舞う人がいます。

 

仲良くなりたい、早く打ち解けたいと思うがあまり、相手の気持ちを考えることなく踏み込んではいけない領域に足を入れてしまう。その結果、自分の想いとは裏腹に相手から距離を置かれてしまった。

 

しかし、あなたにはこういったところが全くありません。いつの間にか胸の内にすっとあなたが入り込んでいた……そんなところが魅力なのです。

 

あの人は自分の弱さを見せたいという思いを抱えています。どちらかと言うと神経質で常に気を張っているタイプなので、気疲れが多いのでしょう。

 

胸の内に鬱積したものを吐き出したい、体の奥深くにある柔らかな部分……そこにできたかすり傷やあざをそっと癒やしてほしい。そんな想いを抱いているのです。

 

しかし、それは誰に対してでもできることではありません。心から信頼できる人でなければならないからです。

 

相手を慎重に選んでいる状態と言えます。だから今はその願望をひた隠しているのでしょう。また、そのような人がいても、心のどこかで「良く見られたい」という思いも同時にあり踏み切れない。二つの気持ちがせめぎ合っています。

 

あの人は二人の関係について、もう一段階上に行きたいと考えています。

 

友人が多く、いつもたくさんの人に囲まれているあなた。その大勢の中の一人に自分も入っているのだろうと、あの人は思っています。

 

あなたにとっては自分など取るに足りない存在なのだと悲観しているようなところがあるのです。

 

勝手に思い込みかつては落ち込みもしましたが、今ではそのような気持ちは鳴りを潜め、前向きで力強い想いがあの人の中には確かに息づいています。

 

多くの中の一人、ではなくたった一人の特別な存在になりたい。いえ、そこまでいかなくても、頭一つ分でも抜きんでた存在でありたい。

 

少しだけでいいから他の人よりも気にかけてもらえたら……そこからがスタートなのです。

 

その時の二人はそれまでにないほど会話が弾むでしょう。二人には意外な共通点があることがわかるのです。

 

挨拶から始まった何気ない会話、ちょっとした世間話だったのが、ふとしたきっかけで流れが変わります。そのポイントに触れた瞬間、急流に乗るようにして二人の会話は一気に展開。

 

興奮が高まったあなたは止めどなく溢れ出てくる言葉に自分自身でも圧倒されてしまうでしょう。この時から、あなたとあの人の新たな結びつきができるのです。

 

その出来事がきっかけで、二人の関係は進展していきます。

 

まずは会話をする機会が増えるでしょう。あの人はこのチャンスを逃すまいと行動を始めるのです。

 

楽しいことがあれば真っ先にあなたに伝え、会話の中であなたがもらした情報はどんなに些細なものでも頭に留めておきます。

 

例えば、あなたが「あそこに行きたい」と言ったならば、あの人はそこを調べ下見をし、一緒に行かないかとあなたを誘うでしょう。

 

急接近する時がやって来るのです。

 

二人の関係には変化が訪れ、あなたが望んでいる方向へと向かっていきますが、だからと言って油断は禁物です。やっと想いが通じ合い同じ道を歩んで行こうとする二人。

 

しかし、あなたとあの人は育った環境も考えていることも全く違う別の人間だということを忘れてはなりません。あなたが歩くペースとあの人が歩くペースも違ってくるのが当然でしょう。

 

もしもあなたがもっと早く先に行きたいと思ったとしても、相手もそう思っているとは限らないのです。あの人はゆっくり歩きたいと思っているかもしれないし、あなたに無理をして合わせて疲れ切っているかもしれない。

 

そんな状態では、近いうちに二人の間には溝ができてしまいます。そういったことを念頭に置いておきましょう。

 

あなたが今取るべきなのは、相手の出方を見ることです。気持ちばかりが急いてしまってはどうしようもありませんから、今は気を落ち着けるようにしてください。

 

まず、焦らず現在の状況を分析するのです。あの人が自分のことをどう思っているのか、気持ちはどこに向いているのか。

 

それがわかってきたら、次はあなたの方から少し仕掛けてみましょう。気のあるような素振りをしてみたり、逆に素っ気ない態度をとってみたり。

 

そうしたあなたの態度にあの人がどう反応してくるのかに注目するのです。予想していた反応をするかもしれませんし、全く想像していなかった行動を取るかもしれません。

 

あなたはそれに応じて臨機応変に対応するといいでしょう。

 

物事には順序があります。世の中のすべてのものは決してでたらめに並んでいるわけではありません。一の次は二が来るように、春の次は夏が来るのですから。

 

だから当然、男女の関係にも進展する順序があります。極端な話ですが、自分が好きだからといってすぐに相手と肉体関係を持てるわけではないでしょう。

 

少しずつ時間をかけて相手のことを知り、また、相手もあなたのことを知っていく。様々な触れ合いを通して心を通わせ、想いが通じ合った時、初めて恋人同士になれるのです。

 

何事も焦って行うと失敗することが多くなると言われているように、恋愛においても焦りは禁物。まっすぐに続いている道が必ずしも近道とは限りませんよ。

 

遠回りに見える道が目的地に続いていることもあるのです。