片思い中のあの人とあなたとの距離は少しずつ、だけど確実に縮まって

あの人には過去、恋愛で痛い思いをした経験があるようです。

 

想いを寄せる人と心が通じ合っていたと思っていたのに、それが偽りであった。確かに目の前に存在していたはずの現実が、脆くも崩れ去ってしまったのです。相手のことも、周囲のことも、そして何より自分のことを酷く憎んだあの人。

 

長い年月を経てようやく心の傷が癒えてきた頃、新しい出会いを果たしました。過去の失敗から、もう二度と同じ過ちは繰り返さないと決めていたあの人は、恋に慎重になっているのです。それは今でも変わらず、恋人を選ぶ際にはよく相手のことを知ってからでないと交際できません。

 

しかし恋を遠ざけているわけではないのです。ただ及び腰になっているだけなのだと思いますよ。

 

あの人は過去の痛手から、恋愛には癒しを求めます。もう傷つくような恋はしたくないと思っているのです。

 

相手のことを自分が傷つけてしまうのも嫌。そしてもちろん、自分が傷つくことも経験したくない。お互いに傷つけあう恋など御免だと考えているでしょう。だから必然的に、恋愛には癒しや安心感を求めるのです。

 

特別なことはしなくても、ただ一緒にいるだけで魂が浄化していくような清らかな恋。相手のことを想うだけでほんわかした気分になれる、一日を生き抜く力をもらえる。相手も自分と同じように思ってくれているならば、もっといい。そんな恋愛を理想としています。

 

利害関係も駆け引きもない、初恋に近いような恋と言えるかもしれません。

 

あの人は幼少期に寂しい思いをしたようです。家庭内が平和だったとは言い難いでしょう。そのため、今でも心にぽっかりと穴が開いたような気持ちになることがあります。

 

街で仲良く手を繋いで歩いている親子を見ると、急に胸が締め付けられるような思いがするあの人。自分が子どもの頃手に入れられなかったものを、大人になった今手にしたいと熱望しています。

 

絵に描いたような幸せな家庭をつくる……それがあの人の夢であり、結婚する目的なのです。愛する人と、そして何よりも大切な子どもに囲まれて、笑顔が絶えない毎日を送れたらどんなに幸せだろう。

 

それぞれが家族みんなのことを思いやって過ごすのが、あの人の理想の結婚なのです。

 

あの人があなたに対して抱くのは、守ってあげたいという感情です。

 

あなたからは、少しでも触れてしまえば壊れてしまいそう、風が吹いたらそのまま吹き飛ばされてしまいそう、瞬きをしたら次の瞬間には消えてしまいそう……そんな印象を受けます。

 

繊細で儚げな立ち姿には、誰かが傍にいて手を差し出してあげなければと思わせる力が。思わず目を向けずにはいられない、異性の心を鷲掴みにする吸引力があなたには備わっているのです。

 

あの人もあなたを見ているとどうしようもなく庇護欲がかきたてられるのでしょう。できるならば、世の中の汚い部分に触れずに生きてほしい、醜いものをその目に映したくない。こんな風に思うことさえ珍しくはありません。

 

あの人が心惹かれる異性は、ミステリアスな雰囲気を醸し出す人です。

 

昨日と今日では受ける印象が違い、いつ顔を合わせても正体が掴めない。会話をしていても、自分が主導権を握っていたと思ったらいつの間にか相手に誘導されていた。知っても知っても底が見えない、いえ、知れば知るほどわからなくなる底なし沼のような人物。

 

もともと恋愛においては追いかけられるよりも追いかけたいタイプなので、その本能を刺激してくれる異性を追い求めます。

 

あの人が困り果てている時にあなたが手を差し伸べることが、二人の関係性を変化させます。いつもならば、できる限り自分の手で対処しようと思う人なのですが、その時は違うのです。

 

それはなぜかというと、あなたが「手を貸しましょうか」と声をかけるから。あの人はまさかあなたがそんな風に言ってくれるなんて夢にも思っていなかったのでしょう。

 

喜びで舞い上がったあの人は、二つ返事であなたの申し出を受け入れ、二人の仲は深まっていくのです。

 

その後変化するのはあなたよりもあの人の方です。

 

あの人は他人に対してどこか遠慮がちとでもいいますか、謙虚とも言えなくはないのですが、知らず知らずのうちに一線を引いてしまうところがあります。その性格が、あなたとのあの出来事をきっかけにして変わっていくでしょう。

 

特に、あなたに対してはかなり心を許すようになるはず。素直に人に頼れなかったあの人が、あなたには甘えてくるようになるのです。あなたも悪い気はしないでしょう。

 

あなたがすべきなのは、あの人をいつでも受け入れられる態勢を整えることです。いつでも気軽に話しかけられる雰囲気を出す、ということでしょうか。

 

仏頂面でピリピリした空気を出している人がいたとしたら、話しかけようとはあなたも思わないはず。反対に、常に笑顔で動作もゆったりとしている人にならこちらから話しかけたいとも思うでしょう。

 

あなたにも家庭の事情、仕事からくるストレスなどあるでしょうが、そうした陰の部分は表には出さずに、せめてあの人の前では明るい人物でいられるように心がけてください。

 

そうすればあなたの方から接近しなくてもあの人の方から近づいてきてくれます。あの人を惹き付けられるようになれば、なお良いでしょう。

 

二人が結ばれる可能性はおおいにあります。あなたはあの人を惹き付けるだけの魅力を持っていますし、あの人もあなたを好印象で見ているからです。

 

ほんの些細なきっかけがあるならば、二人の距離が急接近していくのも当然と言えるでしょう。距離が縮まってしまえば関係が発展していくのも、そう時間はかからないはず。

 

「どうして今まで仲が深まらなかったのか」と思えるほど、あっさりと親密な関係になれる二人なのです。

 

恋に対してどこか尻込みしているあの人。たとえ好きな人ができても、近づきたいと思う一方で躊躇してしまう自分もいるようです。

 

あなたも感じたことがあるかもしれません。ある時とても話が弾んで距離が縮まったと思ったら、次に会った時にはそのようなことはなかったかのように素っ気ない態度を取られたような気がする、ということが。二歩も三歩も前に進んだように思っていたのに、また振り出しに戻されたような気分になるでしょう。

 

しかし、そうではないのです。あの人の中では少しずつではありますが、前に進んでいます。それが三歩進んでは二歩下がる状態だったとしても、確実に一歩分は進んでいるのですから。繰り返していくうちに大きな進歩となっているはずです。